日本でのデジタルパーマのルーツは大正時代(1910年頃)迄さかのぼります。
当時は「電髪」と言われ今のように性能のよいパーマの薬剤が無く、
熱を加える事でウェーブを作っていました。
その後戦争などによりパーマが規制されていきます。
1940年頃第2次電髪ブームが来ますが
今でも使われるパーマ液「チオグリコール酸」が開発され、
加熱しなくてもっかかる通常のパーマに成り代わって行きます。
その後長く通常のパーマ(コールドパーマ)が続きます。
1980年代頃「ホットパーマ」という遠赤外線などを使用した
低温のデジタルパーマが開発されますがイマイチ流行らず終わる。
1990年後半今の「デジタルパーマ」の機器がメーカーより開発され
巻き髪ブームもあいまって流行する。
巻き髪ブームに乗って流行したデジタルパーマの最大の特徴は
「巻き髪のようなパーマが乾かすだけで作れて、しかも持ちが良い」と言うものでした。
理論的にはパーマ+熱という考え方だったので、
高い還元と高い熱を用いていたので、
パーマの傷み+熱の傷み=デジタルパーマの傷みという方式でした。
この方式は確かにもちが良く始めてパーマに挑戦する人(髪の痛みが少ない人)にとっては
手入れが簡単で、一度かけたら半年くらい持ってしまう奇跡的なパーマで
あった事が流行に拍車をかけました。
しかし2度目3度目のデジタルパーマとなると毛先は傷んできます。
また傷みが原因でパーマを敬遠していた人も
「パーマをかけるポイントだけに優しい薬剤でしっかりしたカールを」
「化粧品のパーマとトリートメントでかけるデジタルパーマ」
などといった売り文句が流行し
傷んだ毛先の人がデジタルパーマをするようになりました。
先にも書いた通り昔のデジタルパーマは
パーマ+熱というダメージ2倍構造だったので
傷んだ毛先はデジタルパーマのダメージに耐えられず
パサつきや乾燥、ビビリなどが多発して
「デジタルパーマは傷む」と言われるようになりました。
ちなみにこうやってデジタルパーマが傷むと言われるようになった頃に
新しいパーマして出て来たのが「エアウェーブ」です。
こちらはデジタルパーマよりは弱く、持ちも悪いですが
傷みが少ないという事が売りでした。
独特の仕上がり感があるのでお好きな方もいますが
理論的に中途半端な為かあまり流行りませんでした。
デジタルパーマの難しさは
薬剤と熱二つのダメージ要因を持っている事です。
ダメージ要因が2つあると言う事は
下手をすれば2倍、もしくは相乗効果でそれ以上のダメージが起こる可能性があるのです。
しかしデジタルパーマは薬剤と熱の力を借りてかけるパーマなので
他の技術以上に毛髪診断能力や薬剤の知識、技術力で仕上がりに大きな差が出ます。
この機械ならこの薬剤ならというレベルでは解決出来ない
圧倒的に技術者の力量の差が出る技術と言えます。
人の髪は千差万別、ダメージも人それぞれ
しかも場所によって髪質や傷み具合も変わってくるので
一つ一つ丁寧に合わせて行くしかありません。
例えばアシスタントレベルでこれが出来る可能性は限りなくゼロに近いと思います。
料金が安いや割引率の高いサロンでこの精度の技術を求めるのも無理があります。
少なくとも毛髪診断、薬剤選定、薬剤塗布は熟練の技術者が付きっきりでやる意外に
解決法は無いと考えています。
デジタルパーマの傷みを軽減するには
高度な毛髪診断能力と優れた薬剤とトリートメント、知識と熟練の技術の全てを持って望まなければなりません。
デジタルパーマの考え方も
高還元(ダメージ大)+高温(熱ダメージ大)
↓
中還元(ダメージ中)+中温(熱ダメージ中)
↓
中還元(ダメージ中)+低温(熱ダメージ小)
↓
低還元(ダメージ小)+高温(熱ダメージ大)
という経緯を経て現在は
微還元(ダメージ極小)+中温(熱ダメージ中)
という方式をenvieでは選択しています。
最初に髪にダメージ与える薬剤のダメージを極限まで下げて
熱も最低限と言うものです。
特にダメージが酷い場合はさらに
微還元(ダメージ極小)+低温(熱ダメージ小)
となります。
全て
微還元(ダメージ極小)+低温(熱ダメージ小)の組み合わせにしてしまうと
パーマがかからなくなってしまうので
毛髪診断と高度な塗り分け技術、知識、経験などで
細かく微調整する必要があるのです。
ここまで、丁寧に丁寧に髪の一本一本迄神経を巡らせて
やっと傷みの少ない理想のデジタルパーマに近づくのです。